ニーハオ安徽 
高知県安徽省友好交流委員会
1999年10月発行 第10号


平成11年度スポーツ国際交流事業
 安徽省スポーツ友好訪問団来高

  (財)高知県スポーツ振興財団 服部 康隆
   高知大学教育学部生涯教育学科 古味 由子
安徽省の小学校と友好提携第一号!
   高知市立一宮東小学校教頭 中屋 仁志
   高知大学人文学部人文学科 牧野 るみ
   高知大学人文学部人文学科 西川 麻衣子
安徽省博物館名品展開催報告
   高知県立美術館学芸員 川島 郁子
平成11年度海外技術研修員にインタビュー
   研修員 林 高興・鄭 久坤・董 広平



平成11年度スポーツ国際交流事業
 安徽省スポーツ友好訪問団来高

 高知県と安徽省のスポーツ交流は、お互いの競技力の向上やスポーツ活動の活性化を図り、両県省の友好関係をさらに発展させることを目的に始まり、毎年監督・選手の派遣及び受け入れが行われています。3年目を向かえた今年は、安徽省から柔道と陸上競技の11名が8月15日〜22日にかけて来高し、高知県の国体強化選手とともに練習に汗を流しました。監督・選手へのインタビュー、練習に参加した日本人選手の感想をご紹介します。

柔道の劉監督、66キロ以下級中国チャンピオンの孫選手、73キロ以下級中国6位の蘇選手にお話を伺いました。

高知県の選手と練習してみた感想は。
劉 監督
 日本人選手は基礎がよくできています。13年前に日本に来た時と比べ、そのレベルは一段と高くなっています。
孫 選手 高知には経験豊富な指導者がいるので、選手のレベルが高いです。世界一の日本の技術を少しでも身につけて帰りたいです。
蘇 選手 練習の雰囲気がとてもいいですね。日本の優れた足技等、勉強することがたくさんあります。
日本の練習法と中国の練習で違う点は。
劉 監督 練習前に入念に準備運動をする中国と違って、日本ではすぐ練習に入りますね。また練習時間が長い。中国では午前か午後だけで、一日中練習したりはしません。寝技よりも足技を得意とする日本は、寝技の練習を道場の脇でやるのも興味深い違いだと思います。
高知合宿で、これはものにしようと思って来たものは。
劉 監督 やはり、日本が得意とする足技です。柔道は日本の国技なので、礼儀作法等の柔道の真髄もぜひ学んで帰りたいです。
中国では柔道は人気がありますか。
劉 監督 中国では柔道はまだそれほど盛んなスポーツではありません。というのも中国で柔道が始まったのは1979年で、まだ20年しかたっていないからです。オリンピック種目なので力は入れていますが、日本のように子供の頃からやっている人はまだいません。レスリングや陸上など他のスポーツをやっている選手の中から柔道向きの選手をスカウトしているので、始める年齢が15歳から17歳と遅めです。
高知県と安徽省のスポーツ交流について。
劉 監督 現在中国では、実践練習を中心としたヨーロッパ式の練習を行っているのですが、基礎を重んじ、技術的に優れている日本の柔道を取り入れ、腕力を活かしたパワーのある中国の柔道とミックスした新しい柔道をやっていきたいと思っています。そのためにも、お互いの競技力を高めるためにも、この交流は大きな意味があります。
孫 選手 練習を通して、選手間の友情、高知県と安徽省の友好を深めたいと思います。

陸上の朱監督、走り幅跳び中国チャンピオンの楊選手、400メートルハードル中国5位の呂選手にお話を伺いました。
日本人選手との練習は刺激になりますか。
朱 監督 以前から日本人選手のグレードがアップしているのは強く感じていましたが、高知で練習を見てそれを実感しました。お互いの長所、短所を勉強し合って、お互いに高め合っていくためにも、この交流は続けていきたいです。
楊 選手 高知の選手、監督、コーチとも実にまじめに練習に励んでいて、とても刺激になります。
日本の練習方法で参考になることは。
朱 監督 ジュニア選手の自発的な練習、練習の管理方法など参考になることはたくさんあります。短距離の場合、中国では足を高くあげるように指導しているのですが、伊東選手を始め、日本のランナーのフォームは異なります。このフォームも大変参考になります。
楊・呂選手 いただいた資料や、高知の練習で教えていただいた技術など勉強になることがたくさんあります。それらを活かして帰国後も練習に励みたいです。
中国で陸上競技は普及していますか。
朱 監督 小学校四年生から学校のクラブ活動として始める子供が多いです。素質のある子供は、中学校からスポーツ学校に入り、午前中は授業、午後は陸上の練習に励みます。さらに将来性を認められた生徒は、楊選手のように国に属するスポーツセンターへと進みます。


歓迎パーティーにて


迫力ある練習風景(右が中国選手)


桂浜にて笑顔で記念撮影


陸上技術について意見を交わす


通訳を通して解選手からアドバイスを受ける古味選手

「スポーツ国際交流に参加して」
    (財)高知県スポーツ振興財団                         服部 康隆
 この度、中国安徽省から柔道と陸上競技の選手団が本県とのスポーツ交流のためにやって来ました。私ども陸上競技選手、役員においてはアジアを代表する中国の「パワー」というものを間近で体験できるチャンスであり、今後のトレーニングのヒントが見つかればという思いで非常に期待をして交流合宿に望みました。
 今回、陸上競技では呂選手と楊選手の2名を迎えました。2名とも20歳という若さで中国のトップレベルで活躍しており、実際動きを見てもパワフルで中国独特のダイナミックさは圧巻でした。ただ合宿中はほとんどが激しい雨に見舞われてしまい、十分なトレーニングができなかったことが少し残念でした。
 私は試合や合宿で中国に行ったことがありますが、向こうでは屋根付きの練習場が主流で今回のような雨が降っても、また寒い冬でも暖房を入れてオールシーズン、毎日質の高いトレーニングができるよう設備されていました。彼らはオフ・シーズンでも関係なく高い体力レベルを維持できるわけです。
 今回日本に来た2名の選手も祖国との施設面での大きな違いにとまどいがあった様子でした。中国のアマチュアスポーツは日本と違い、幼い頃から施設に入れられて英才教育を受け、その中で特に秀でた者は国の代表としてより保証されていくといったシステムで、趣味や健康のためにスポーツを楽しむのではなく、生活のためにスポーツをするので競技に対しての貪欲さは日本とは比較になりません。そんな恵まれたスポーツ環境にプロ意識のある中国選手と数日間共にし、彼らのレベルに追いつくためには彼らより何倍も集中して今よりもっと高い意識を持ってトレーニングしていかなければならないと強く実感しました。
 今回の期待以上の収穫にこの交流の場を設けてくれた高知県、安徽省の関係者の方々をはじめ、選手団の皆さんに深く感謝すると共にこれからの高知県のスポーツの発展に役立てて行きたいと思います。

「中国選手との交流を通じて」
    高知大学教育学部生涯教育学科                         古味 由子
 毎年、高知県柔道協会が主催する強化合宿には、県内の中高校生と社会人が参加しています。今年はこの合宿に、中国から柔道の選手団に来ていただきました。選手団の一人、女子柔道の解選手は私と体格が似ていました。練習では体力的・技術的なレベルの違いをいやと言うほど見せられ、自分の実力のなさを情けなく思いました。そして幾度も稽古をつけていただきました。
 強い女子選手がいない高知県での合宿に、解選手に参加していただいて、私だけでなく高知県の女子柔道選手をはじめ、指導者の先生方も大きな興味関心を持つと同時に、レベルの違いを実感したことと思います。試合では負けはしたものの、練習の時よりは粘りのある試合運びができ自信につながりました。実力の差を実感し、次への課題を見い出せました。
 合宿中には練習だけでなく、一流選手や講師をお招きして研究会を行いました。ここでも発想の違いから様々なことを学びました。大学では中国語の授業を受けたものの全く理解できない私ですが、通訳の方の助けをいただいたり、ボディーランゲージにより、ある程度コミュニケーションをはかることができました。
 今回は柔道の稽古中しか一緒にいられませんでしたが、機会があれば解選手の柔道感や中国の生活習慣、文化などにも触れてみたかったです。食事をはじめ気温など、慣れない環境においても自分自身の柔道ができる中国の選手団を尊敬します。
 これからも異文化に触れる機会を大切にし、私も海外へのスポーツ交流に積極的に参加したいと思います。

 
 

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