−おぴにおん−
「国際交流に必要なもの」
〜第1回国際メッセージより〜
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高知大学4回生 井上 和真
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私が国際交流を実体験したのは、「梼原国際スクール」という交流プログラムに参加した時である。これは、梼原町の全面的バックアップにより、韓国ペジェ大学学生を町内に招待し、短期山村留学を実施するもの。私は「日本学生スタッフ」という名目で、彼らと交流する機会を得た。これから展開していく持論は、そこで経験したことに基づくものである。
個人のレベルで大切なのは、「積極性と自己アピール力」。語学力ももちろんだが、もっと基本的な心構えが必要である。国際交流に最重要な要素でありながら、沈黙を美徳とする多くの日本人にはこれがない。違う国の人々との交流は、味を占めれば楽しいもの。しかし、日本人同士の場合と違って、言葉も文化も異なるという点で、互いに知り合うまではかなり不安である。その不安を取り除くのが、あなたからの「こんにちは」であってほしい。「どうせ相手から話しかけてくれるだろう…」こんな気持ちの人は、国際交流には向いていない。それから、なんでもいいから人に負けない自分なりの特技を持つこと。語学ができても話題性に欠ける人は損だ。自分の魅力を伝える能力のある人が、国際交流の場で力を発揮する。
次に、「幅広い知識」。国際交流をしたいと思う者が、新聞も読まず世の中に疎い人間であっては困る。そして、「思いやりと優しさ」。お互いを尊重し気遣うことで、異文化に育った相手とも本当に分かり合える。私はバスなどではたいていお年寄りの方に席を譲るが、あえて無関心を装う人々の多さには、いつも落胆させられる。日頃から周りの人に優しくできない者が、どうして外国人に優しくできるというのだ。「よそ行きの振る舞い」はすぐにメッキがはがれる。自分の人間性を磨くことを、国際交流を夢見る人が怠ってはならない。
ただ、個人レベルでは解決できない部分もある。課題は、行政のバックアップ体制をさらに向上すること。「国際交流」というと聞こえはよいが、そのために必要な経費、スタッフの人数は莫大である。私が参加したプログラムも、梼原町役場の協力なしには実現しなかった。「国際化」を広く浸透させるためには、行政のサポートが不可欠である。
これから国際交流の機会を持つ、あるいは持ちたいと思っている人へ。出会った相手に何かを期待するより、まず自分が国際交流の場に立てるふさわしい人間になることを念頭に置くべきだ。そうすれば、おのずと充実した満足感が自分に返ってくる。素晴らしい国際交流のために、日頃から自分を高める努力が必要である。私自身、この貴重な経験を通して、一回り成長したような気がするし、かけがえのない友人もできた。足りない部分は行政の補助を受けながら、たくさんの人が国際交流の機会を持てればよいと思う。
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