第2回国際メッセージ
平成11年10月2日、第2回国際メッセージが南国市にて開催されました。今年は日本人2名、外国人6名(アメリカ4名、カナダ1名、中国1名)の方が、日常生活の中で感じた国際交流・協力への思いを発表してくださいました。その結果、最優秀賞にアンドリュー・アダムスさん、国際協力事業団四国支部長賞にセパスチェン・ボードンさん、優秀賞にパトリシア・ジェイコブセンさんが選ばれました。最優秀賞に輝いたアンドリュー・アダムスさんのスピーチを掲載します。
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発表者と演題
●ミツヨ・ラニー・スズキ---「お早う」
●高橋 由美子---「留学生との出会い」
●セパスチェン・ボードン---「ゴースト ベア アイランド」
●パトリシア・ジェイコブセン---「日本で学んだこと」
●祁 永強---「外国で手術を受けるということ」
●ディアナ・グンダソン---「シャワーはどこですか」
●横山 厚美---「貧乏だけどウチにおいでよ!」
●アンドリュー・アダムス---「グラスルーツ インターナショナリゼーション」
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英語に、マスコミや政治家によって取り上げられ、何度も何度も使われる流行語を表す表現があります。それは「ブズ・ワーズ」といいます。「ブズ」はブザー、又は人の注意を向けさせるベルという意味で、「ワード」は言葉という意味です。「ブズ・ワーズ」を聞いたら必ず気になるはずです。少なくともマスコミと政治家はそれを望んでいます。
4、5年前から流行っている「ブズ・ワーズ」があります。それは、「Grass
Roots(草の根)」です。この言葉は、日本で発行されている英字新聞でよく見かけます。たいてい、「草の根経済再編」とか「草の根国際化」といった風に使われています。
それでは、「草の根国際化」とはいったい何を指すのでしょうか。恐らくそれは、今、私がやっていることを言うのではないでしょうか。
私は、草の根レベルの国際化を推進しています。日本社会における本当に初歩の、基本の国際化です。国際的なビジネスの契約をするわけでもなく、国際連合で「共に平和に生きるべきだ」などと長い演説をするわけでもありません。「はじめまして」や「よろしく」は英語でどう言うのかを、子どもたちに教えているのです。日本人が挨拶をする時に、頭を下げなければいけないのと同じように、握手は左手ではなく、右手でしなければいけないことを教えます。アメリカは非常に危険な国だとか、外国について聞くこと全てが本当ではないことも教えます。そして時々、外国は聞くほど刺激的ではないということを、彼らに思い出させます。
私と生徒のチホはよく英語クラブで、彼女がどれほどアメリカに住みたくて、FBI捜査官になりたいか話をします。何がきっかけで彼女がそんなことを夢見ているのかはわかりませんが、恐らく「羊たちの沈黙」のような
FBI映画をたくさん見たのでしょう。また、国際政府の陰謀と戦うハンサムなFBI捜査官モルダーと、彼の美しいパートナー、スカリーが出てくるテレビ番組、「Xファイル」も見たのかもしれません。もちろん、スカリーとモルダーはトレンチコートをはおり、記章を付け、ピストルを持って、最新のビジネススーツに身を包んでいます。しかし、二人は番組終了後、決してデスクワークなどしないようです。
これが「草の根国際化」を聞くよりもさらに難しくしています。チホに、FBI捜査官が具体的にどんなことをしていて、テレビで見ているのとは大分違うということを話すべきなのでしょうか。それとも黙っておいて、彼女に夢を見させておいた方がいいのでしょうか。そうすれば、FBIに入りるにしろ入らないにしろ、とにかく今は世界に関心を持って、勉強する動機になるでしょうから。私は、後者を取ることにしました。彼女は自分でわかっていくのです。
英語社会の中で、「草の根ナントカ」は「ブズ・ワーズ」に入ります。「草の根」は聞こえのいい流行り言葉なのです。大衆の注意を引くために使われているのです。「草の根」という言葉を聞いた人は、何もかもうまくいくような気がするでしょう。
さて、日本の「草の根経済再編」は、国の不景気を回復するために時間がかかるということは誰もがよくわかっています。同じように、「草の根国際化」も時間がかかるのです。「草の根」とは、「事態がうまくいかないので、ずっと最初の段階から全てを再びはじめなければいけない」という動機づけの言い方です。「ローマは一日にしてならず」とよく言われるように、「草の根国際化」とは時間のかかるものなのです。
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