第4回国際メッセージ
平成13年11月3日、第4回国際メッセージが宿毛市にて開催されました。今年は日本人5名、アメリカ人1名、カナダ人1名、中国人1名、ニュージーランド人1名の計9名の発表者が、国際協力・交流を通じて得た思いを発表してくれました。その結果、最優秀賞にTMさん(高知大学2回生)、優秀賞に弘瀬葉子さん(明徳義塾高校1年)、津田学君(追手前高校2年)、宿毛市長賞にジェイソン・ジョ−ンズさん(高知県国際交流員)が選ばれました。最優秀賞に輝いたTMさんのメッセージを掲載します。
発表者と演題
TM
畝崎 望
弘瀬 葉子
アンドリア ビンガム
津田 学
ジェニファー トヌウ
平井 ゆき枝
ジェイソン ジョーンズ
安岡 希美 |
「今、私にできること」
「家族・友達・国際交流」
「運命の17歳」
「Communication」
「韓国に行って感じたこと」
「MIX+BLEND OF CULTURES」
「万里の長城の売り子さん、ありがとうね!」
「仮面」
「You're Welcome」 |
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メッセージを発表してくれたみなさん |
ジンバブエでの体験を発表するTMさん |
「今、私にできること」
高知大学人文学部2回生 TM
「ヒュ―、ドーン。」私が乗っていたバスを、ものすごいスピードで追越していった一台のマイクロバスが目の前で横転するという交通事故に遭遇したのは、アフリカ南部に位置するジンバブエでの出来事です。窓から放り投げ出されている人、バスの下敷きになっている人と辺りは一面真っ赤に染まり、一瞬にして血の海となりました。生後間もない赤ちゃんから老人まで負傷者は何十人にものぼりました。
あまりの悲惨な光景に私の体は氷のように硬直し、息絶えていく人々を前に何もできないという自分の無力さを感じました。ただただ泣き叫ぶばかりでした。
現地のスタッフからは、バスから降りることを止められ、唯一私ができたことといえば、所持していたミネラルウォーター、タオルとウェットティッシュを彼らに届けてもらうだけでした。
このような状況の中で現地のスタッフが、体の至る所から出血している負傷者を助けようとしている人に対して口々に「Don't touch blood
!(血には触るな)」と叫んでいたのをよく覚えています。この時初めて、この国のHIV/AIDSの深刻な問題に直面しました。
ジンバブエでは成人の3人に1人が、また4人に1人の子どもたちがHIV感染者だということです。また、5分に1人がエイズで尊い命を失っているという統計も出ています。最初にこの数字を聞いた時は、とても同じ世界で起きている出来事だとは信じられませんでした。
このような社会の一方で、急速なエイズの蔓延をくい止めようと世界各国から集まったボランティアたちが真剣に活動しているのも現実です。国際協力、国際ボランティアと多く叫ばれている今、このように現地で活動している人のみを国際協力と結び付けている人が多いように感じます。確かに彼らは現場へ行き、社会に貢献しています。しかし、私は注目されがちな現場での活動は、これらを成功させるためのほんの一部であると思っています。その他様々な支えがあってこそ、国際協力となるのではないでしょうか。
日本で生活しながら、あらゆる形で国際協力活動をすることは可能であり、それらの一つひとつが組み合わされなければ成功はしません。これらを築き上げていくためには、日本の社会で暮らす一般市民の方々の開発途上国に対する意識の向上が必要であると思います。
「今、私にできること。」それは、私が見て体中で感じた遠いアフリカの現実を、より多くの方に伝えていくことです。私がこの小さな小さな種を蒔くことによって、生きた草の根の国際協力が始まっていくと信じています。
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