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留学の『表』と『裏』

(財)高知県国際交流協会
杉尾 智子


川の生態調査:サマーキャンプにて

インターナショナルディナーにて:左が杉尾さん

マイナス30度の世界



ヘルメットも似合うでしょ?
:サマーキャンプにて

【留学の舞台裏−勉強】

 ”外国人の友人に囲まれた華やかな留学生活”というイメージが通用するのはせいぜい1年まで。むしろ「努力」「根性」という言葉の似合う地味なものでした。

 私が大学で専攻していた天然資源学(Natural Resources)は、6週間のサマーキャンプに参加しなければ卒業が認められません。寮に入り、天然資源の基礎である水質、土質、森林、野生動物について.実践的な野外学習をします。朝から晩まで勉強三昧。アメリカ人の中に留学生は私一人。話しかけて来る人は片手で数えられるほど。高校の部活で養った自慢の根性も極度の孤独から見る影もありません。野外学習でも、足手まといと思われたのか、分担作業に入れてもらえず、くやしくて母や友達に涙ながら電話をする日が続きました。しかし、努力はいつか報われる。得意の数学やGIS(地理情報システム)を使うグループプロジェクトで本領を発揮。周りにも序々に認められ、ついに他の生徒たちと肩を並べることができました。すると、今までとはうってかわり、「これは日本語で何と言うの?」と話しかけてきたり、私が分からない事は丁寧に教えてくれたり、両手両足でも数え切れないほど友達ができ、先生も生徒もすぐに私の名前だけは覚えてくれました。

 「努力」と「根性」、留学に持って行くなら辞書より必要です。アメリカは実力主義の国。自分の努力が認められさえすれば、国籍に関係なく、周りはすぐに打ち解けてくれます。自分の意見を明確に持ち、発言する大切さを痛感しました。

【留学の表舞台−交流】

  「留学」に対する華やかなイメージも決して間違ってはいません。所属していた「インターナショナルクラブ」主催の「インターナショナルディナー」では、世界各国の料理、音楽、ダンスなどを一夜で体験でき、私も日本文化としてよさこい踊りや二人羽織、お茶などを披露。

 様々な国籍の者が集まれば、理解し難いことも。例えば、「今日テストができたんだ。これも朝神様にお祈りしたおかげ」と言う友達。「自分が頑張ったからでは?」と思うのは私だけ?宗教や歴史について、友達と夜中まで討論することもよくありました。討論とは互いを理解するための儀式のようなもので、より深い関係を築くために避けては通れません。大切なのは、もめ事を起こさないことではなく、なぜこの人たちはこのように考えるのか、お互いが相手の背景を理解しようと心がけ、尊重すること。こうして「留学の表舞台」に立てるのだと思います。


ホストマザーの車は冬眠中・・・

【バナナで釘が打てるって本当?】

 極寒の中バナナで釘を打つテレビの宣伝を見たことがありますか?マイナス20度、30度の白銀の世界が本当にありました。外を5分間歩くとジーンズもタイツも無視して、太股がジンジン。鼻の中は氷が張り、パリパリ。涙を流せば、その涙が凍り顔に張り付きます。そんな中、この寒さが与えてくれた感動もあります。一つは雪が降った翌日、突如野外に出現したスケートリンク!もう一つは、車庫や庭の自然の冷凍庫。「智子、これ車庫に置いてきて」とホストマザーに生のお肉を渡された時にはビックリ。

【運転免許はアメリカで!】

 日本の普通免許取得にかかった費用は約3万円。まずアメリカの運転免許取得に約3千円。日本のような自動車学校はなく、学科試験に向けて自主勉強。学科試験に合格した時点で仮免許取得となり、後日10分間の実技試験があります。実技試験にコースはなく、一般の道路を試験管の指示通り運転します。私は約6時間の練習で合格!そして外免切替(日本免許への書替)です。切替は10問の学科試験と実技試験のみ。実技は難しく、合格するまでの平均は約10回。私は幸運にも3回目で合格し、計約3万円で日本免許証をゲットしました。

【大学入学に至るまで】(アメリカ、ウィスコンシン州立大学‐スティーブンス・ポイント校)


誕生日パーティー恒例のケーキファイト

  高校3年生の夏、留学を決意したのですが、自分でビザの手続きをするには遅すぎた(テロ事件後はさらに、ビザ取得に時間がかかるそうです。)ので、斡旋業者から、標準語圏のウィスコンシン州にある、私立の語学学校の紹介を受けました。そこは一定のレベルに達した生徒を同州の大学へ推薦する制度があり、私は8ヶ月後、環境学で有名な州立大学に仮入学しました。後の英語と数学の入学試験結果によっては、付属の語学学校に逆戻りする人もいますが、私はどちらの試験も無事クリア、入学が決定しました。

 入学方法がTOEFLだけと思っている人、そんなことはありません!大学によって私のように推薦入学もできます。留学に関して質問がありましたら、高知県国際交流協会の杉尾まで気軽にどうぞ。




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