高知県・ベンゲット州友好新聞 vol.7


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ベンゲット州との交流の広がり

高知県・ベンゲット州姉妹交流推進会議
副会長 吉川 浩史

 青年海外協力隊員としてベンゲット州に赴任していた昭和43年4月。シナイハマダ(マウンテン州開発議会議長)さんを通じ設置申請していた「きのこ類実験所」が完成し小宴を持った時のことである。仕事仲間のバギオ農業試験場のある作業員が、多少酒が入ったせいか「俺の親父は日本軍に殺されたがどうしてくれる」と私に言ってきた。いずれそんな言葉を言われるのでは、と予想はしていたが、「戦争は我々の祖父や父の世代のこと。そんな不幸にならないために互いに個人名で呼べる交流をしようではないか」とやっとの思いで返事をしたことを思い出す。

 そんなこともあり、ベンゲット州とは深い関わりを持ち始め、「第4回高知県青年の船」には乗船講師として参加。毎年来るのであればとシナイハマダさんの提案で、県州両知事が合意し、昭和50年に「姉妹協定」が締結された。

 青年農業者の研修については、構想から実に22年を経て、平成9年に「JA土佐くろしお」が初めて受け入れることによって実現。そして、平成15年11月、ベンゲット州創立記念日に、松浦茂組合長がその功績を讃えられモリンタス知事から表彰されたのである。

 ベンゲット州の中心地の平均温度は、高知県とほぼ同じ17度、日本の作目が良くできる気候条件等にあり、今では、帰国した研修員が大いに研修成果をあげている。昨年10月1日には、この事業を更に積極的に進めるため知事認可の「くろしお農業振興協同組合」も設立した。

 今後、帰国農業研修員には連帯感を持ってベンゲット農業を発展させてもらいたいし、そのためには年間百人の受け入れが必要だと思っている。高知のほかに熊本、愛媛、更には愛知県と、受け入れが広がってきていることは喜ばしい。

 5年前、この事業のシンボルとして持参した雪割桜が、昨年、小さな花を咲かせたとの報告があった。さらに大輪の花が咲き、ますます友好交流が進展することを願っている。

平成15年、ベンゲット州創立記念日
右から:モリンタス州知事、吉川さん、
ゴードン観光大臣、松浦組合長、知事夫人
モリンタス知事より表彰を受けた
松浦さん:中央


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