←前のページへ ニーハオ安徽 2002/01 発行 第15号 4/5ページ 次のページへ→

安徽大学と希望小学校訪問
 安徽省の総合大学である安徽大学の学生と高知の大学生ら20人が合肥で交流しました。中国語、英語、日本語を使っての大学生交流の一日をご覧ください。また、高知希望工程基金会が平成12年度の郵政事業庁ボランティア貯金寄付金配分や皆様の支援を受けて安徽省寿県に建設していた老嘴希望小学校新校舎が、平成13年8月30日に落成開校しました。青海省の教育文化交流記とあわせて紹介します。

(←写真 老嘴希望小学校の落成式で爆竹に驚く子どもたち)


落成開校した老嘴希望小学校


安徽大学校訓の碑
安徽大学生と高知の大学生との交流が始まったそうですが。


陳さん(右端)と平井さん(右から二人目)
前田文子(高知希望工程基金会代表)
 安徽省外事弁公室友好城市工作処の黄玉華処長さんから交流の提案とお誘いをいただき、安徽大学の日本語学科を訪問しました。「大学生の日中交流をしたい」という娘さん(安徽大学生)の要望がきっかけだそうです。交流の方法は本会の大学生スタッフと安徽大学生が二人で一組のペアになり、安徽大学や合肥市内を一日自由に散策する、というものです。

平井ゆき枝(高知大学3回生)
 安徽大学英語科4回生の陳さんと大学校内や寮を見学しました。寮は六人部屋でベッドと勉強机が備え付けになっていて、高知大学の寮より快適そうでした。芸能人のポスターや成人式の綺麗な写真も掛けてあったり、とても素敵な部屋でした。
 午後は合肥市で一番大きくてスリもいる?という書店に行き、CD売り場では音楽の話で盛り上がりました。彼女のお気に入りはアンディ・リュウや張学友ですが、北京大学で教鞭を執りながら音楽活動を続けている黄さんや、フェイ・ウォンも若者に人気があるそうです。


安徽大学の学生さんから学んだことは何でしょう。


合肥の街角にて、玉井さん(右端)と安徽大学生
玉井智奈(高知大学3回生)
 何より英語力の凄さです。会話や語彙の面でも日本の英語科の学生よりも格段に高い英語力でした。彼女との会話は英語、中国語、日本語(日本語は独学)で行ったのですが、英語力の必要性を痛感しました。
 目的意識の違いや中国と日本に対する理解の深さにも吃驚しました。将来の理想や職業についても明確な答えを持っていますし、「この本は日本でいう紫式部みたいは本」なんて返事までも返ってきます。人に対する気遣いや優しさの面でも学ぶところ大でした。


安徽省と青海省の農村や希望小学校を訪問して感じたことは?

立花登貴子(高知希望工程基金会スタッフ)
 はにかんだ子どもたちの笑顔や助け合って暮らす家族など、貧しい中にも人の情や温かさがある昭和30年ごろの日本の姿を感じました。貧困で学校に行けない子どもや、電気や窓ガラスのない校舎で学んでいる子どももいますが、勉強する姿は真剣そのものです。
 親や地域、国のため、という教育方針のもと、先生を敬い、一生懸命勉強しています。日本では反対に綺麗な校舎や整った設備が当たり前すぎて、有り難いと感じる基準がなくなっています。何かもったいないような気持ちになりました。

平井 標高3000Eもある青海省草原村では、寒い中、子供たちが待っていてくれました。「結んでひらいて」「アブラハムの子」など初め習う踊りに、最初は恥ずかしそうにしていた子どもたちも、最後には豊かな表情で楽しそうに踊っていました。そんな交流を体験して「自分にも子供たちのためにできるんだ」という幸せを感じました。


中国訪問で学んだものは多いと思いますが…。


前田代表(左端)と立花スタッフ(右端) in青海省
北村綾(獨協大学1回生)
 日本人としての自己確立、つまり日本人の物の見方や感情の表し方を外国語で伝える力が必要だと思いました。文化や歴史、できれば政治・経済の常識も必要ですね。青海省で高校生と一緒に植林をしたときにも、靖国神社問題について聞かれました。

玉井 毎晩ミーティングでその日の思いを話し合うんですが、自分の考えを思うように話すことの難しさを知りました。「相手の言葉は理解できる。私のことも分かってほしい。でも、主張できない私…。」そんな歯がゆい気持ちを味わうたびに、自分の意見を主張できる人になりたい、自分を成長させたいと強く思いました。

平井 人の意見を聴くことの大切さ、本音で話すことの気持ちよさを知りました。
 見識ある年上の方々とご一緒できたことも光栄なことでした。人生経験やボランティア精神に裏打ちされた考え方は大変勉強になりました。人生は心がけ一つで変わる、ということに気付いたことも大きな成果でした。

立花 貧しい時代から抜け出すため、生活を少しでも豊にするためにガムシャラに働いてきた自分を見つめ直すようになりました。豊になりたいと思って頑張ってきたものの、それで本当に豊になったのか?人間にとって何が大切なのかを考えるようになったのです。
 そんな中、自分の生活も楽ではないのに「より貧しい人の力になりたい」と思っている人たちに出会ったことが一番の学びです。完成した校舎に喜ぶ子どもたちの笑顔にも大きな喜びを感じました。あの子どもたちの中に、幼い頃の自分がいるような気がするんです。


最後に、これからの抱負を聞かせてください。


青海省の高校生と植林活動の北村さん(右端)
玉井 大学卒業と同時に中国の大学で日本語教師として教壇に立てるよう準備中です。安徽省の合肥連合大学で日本語を教えている古田先輩の姿を見て決心しました。中国の小学校で見た子どもたちの笑顔は平等でしたが、その後の人生は環境に大きく左右されます。少しでもそのチャンスを与える人間になれればと思っています。

北村 老嘴小学校には広い運動場があるので子どもたちや村民と運動会をしたいです。また、スタッフには楽器が得意な者が何人かいるので、来夏は少年宮で音楽会を開きたいです。できれば硬筆や書道に実演も。

立花 これからも、一人でも多くの子どもに学ぶチャンスを与えられるよう、自分のできることを少しずつ積み重ねていきたいですね。「自分の欲望の壷を小さく持っていると、より多くの愛情を他人に与えることができる」という好きな言葉があります。そんな人生を少しでも歩めたら、それでもう幸せです。

前田 これからも安徽省の大学生や子どもたちとの交流を続けながら日本の若者に活躍のチャンスを与えていきたいと思っています。
 今、児童図書館の開設と運営を計画中です。特に青海省やチベット自治区の少数民族の子どもたちに本の素晴らしさを知ってほしい、そのための支援策を考えています。
 嬉しいことに現地で児童図書の貸し出し活動をしたいという大学生スタッフが司書の勉強を始めました。しっかりとした国際ボランティア精神と英語・中国語、それに専門性を身に付けた有為な人材が育ってほしいと願っています。

←前のページへ ニーハオ安徽 2002/01 発行 第15号 4/5ページ 次のページへ→