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国際協力事業団(JICA)

小中学校教師海外研修 参加報告

 国際協力事業団(JICA)主催の小中学校教師海外研修事業が平成14年7月31日〜8月10日の日程で実施され、今回は森佳奈子先生と吉岡栄作先生が参加されました。感想を伺いましたので紹介します。



森さんとムクワワ中等学校の生徒たち

【タンザニア】  高知市一宮中学校  森 佳奈子

 アフリカ大陸に位置し日本の2.5倍の面積を有するタンザニア。人口は3200万人。首都ダル・エス・サラームの空港に到着すると同時に過去にタイムスリップしたような、あるいは全く別 の世界に来たような不思議な感じを覚えました。町を走る車はほとんど日本からきた中古車で、中には○○商店なんていう名前をつけたトラックも随分目にしました。茶色い砂埃いっぱいの車道の両側には物売りの子どもや男性がズラリ。ポリオがまだ撲滅されていないので道を這って通 行している人の姿も。歩いている女性の多くは美しいカラフルな柄のカンガをスカートとしてうまくコーディネイトしていました。こうした町の様子に、何もかも最初から驚きの連続でした。

 教育システムは、基本的に2年(就学前)−7年(初等教育)−4年(前期中等教育Oレベル)−2年(後期中等教育Aレベル)−3〜5年(大学)で行われています。それぞれの最終学年次末に行われる卒業試験の結果 によって上級学校に進学していきます。現実は、初等教育終了の10%の児童が前期中等教育に進み、更にその20%が後期中等教育に進み、大学入学者は毎年1200人程度に過ぎないそうです。

 私たちは、小学校2校と中学校2校、教員養成学校を訪問しました。中等学校の2校(ムクワワとベンジャミン・ムカバ)では、折り紙、日本の地理、じゃんけんゲーム、書道、ラジオ体操など、日本の文化の授業をさせて頂きました。

 その日は、授業が始まる前日で、学生寮などの見学や教室で生徒たちと親しく懇談をしました。彼らは将来に対する不安を感じつつも、流暢な英語で積極的に日本の学校教育(学校のシステム、教科、学費、進路、学校設備など)や学校生活、日本の漁業での成功理由などについて、次々に質問してきました。お土産の鳴子も気に入ってもらえました。

 今回のこの貴重な研修を、これからの授業の中で、また一人の社会人としても活かしていきたいし、少しでも 役にたつことができればと考えています。





大自然に囲まれた学校

【ガーナ】 窪川町立窪川小学校  吉岡 栄作

 これまでTVや新聞、雑誌等でしか知らなかったガーナ(アフリカ大地)に立った。周りを見れば私たちの同行者の他に数人の白人以外はみんな黒人。湿っぽい空気と何ともいえない匂い。知人の出迎えなのか、フェンス越しの人、人、人・・・。「ついに来たんだ」という嬉しさと不安で胸が高鳴った。

 研修の目的は開発途上国の社会・教育事情とそこで行われている様々な協力活動の視察を通 じて、その経験を帰国後の授業実践に生かし、小学生の国際理解、国際感覚の養成につなげることだ。私が一番楽しみにしていたのは現地の学校訪問だったが、小学校は休み中のため中学校をいくつか訪問した。

 コンクリートの壁に囲まれた教室には電気が無く薄暗い環境だが、そこで勉強している子ども達の目は真剣そのもので、先生と黒板から視線を外さない様子がとても印象的であった。また、授業が終わった後の無邪気で可愛らしい子ども達の笑顔と歓声に、子どもはどこでも同じなんだなあとあらためて実感。嬉しく思った。

 研修6日目、この日はJICAがガーナに対して、支援・援助の重点事業の一つとして行っている「小中学校理数科教育改善計画(STMプロジェクト)」で研修を受け、現在、現地の小学校で教鞭を執っている先生たちとのディスカッションをした。語学力に乏しい私は今回の研修の中で最も辛い日であった。しかし、同じ教師同士、教育や子供たちに対する思いは同じはずだ。きっと通 じるだろうという気持ちで臨んだ。ガーナの小学校では6教科、1日9時間各30分授業と、教育課程、授業方法、内容に違いはあるものの、教育の質を向上させたい、子どもたちに確かな学力をつけたいという熱い思いがひしひしと伝わってきた一日であった。(しかし、疲れた。)

 今回の研修で数々の異文化体験をし、ガーナのこと、JICAの行っている協力活動の一端を知った気がする。そして、また一つ私自身の教師としての財産を増やすことができた。

今、この研修で得たことをもとに行う授業の思案中だ。



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