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アジアの国々で葉山村中学生海外生活研修事業
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チャオプラヤ川沿いに建つ高層ビル: タイの首都バンコク |
無邪気な子どもたち:ラオスにて |
ラオスでの手軽な交通手段『トゥクトゥク』 |
<はじめに>中学生海外生活研修事業は平成3年から葉山村単独で行われてきた事業で、平成11年からは一般成人海外研修事業もスタートし、今年で13年目を迎える事業である。
<事業の概要>本事業がスタートした平成3年はブラジル、平成4年から9年まではニュージーランドでのファームステイ、ホームステイを中心としたプログラムであった。平成10年から(財)高知県国際交流協会、国際協力事業団(JICA)の協力を得て研修国がラオスを中心とするアジアの開発途上国に変更となった。毎年7月下旬から8月中旬に行われ、中学3年生を中心とする10人の生徒が参加している。 またJICAが実施している青年招へいプログラムで来日したラオスや中国青年の研修受入やホームステイなどを実施している。教育、高齢者福祉、伝統文化、行政部局との意見交換や保護者、一般家庭の方々との交流を通して葉山村の国際化は大きく進んだ。受入れてくれた生徒や一般受入れ者が、来日した青年たちにラオスで再会を果たしているが、それも現地で彼らが研修参加者の面倒を見てくれているからだと感謝の気持ちでいっぱいだ。
<驚きへのスタート>参加者たちがまず目にするのは、多くの場合飛行機の乗り継ぎの関係でインドシナ半島の拠点となるタイ王国の首都バンコクである。その巨大さ、発展ぶりに皆一様に驚く。 ラオスの首都ビエンチャンまでは、わずか1時間の飛行時間であるが、バンコクとのあまりの違いに2度目の驚きがやってくる。この瞬間に「国としての発展の差」を身をもって体験する。アジアの中でも経済的に下位に位置するラオスと隣国、そして私たちの住む日本との間にはそれほどの格差が存在する。 <認識へのスタート>「蛇口から出る水が飲めない」ここからが研修のスタートとなる。首都を離れると電気やガス、水道、学校、病院すらない町や村が多数存在する。町では仕事に従事する幼い子どもたちや外国人に生活のためのお金をねだる人たちの姿も目にする。子どもの5歳までの死亡率は15%、男子識字率69%、女子識字率44%、平均寿命53歳のラオスでは日本での価値観が通用しない。「私たちの価値観は日本だけの価値観であることが分かった。」研修を通して遭遇する様々な『違い』に参加者の多くがこの言葉を口にする。 青年海外協力隊員やJICAラオス事務所、来日ラオス青年の方々などラオスの発展のために努力する人たちが、研修参加者を熱意を持って迎えてくれる。また、宿泊ホテル、レストラン、研修場所や売店等あらゆる場面での人との出会いを通して、文化や言葉、貧富の差など当初の困惑が薄らぎ、人と人との温かい関係が生じる。生徒たちが研修国から学ぶのは厳しい現実や多様な価値観よりむしろ私たち自身が日本で失いかけている温かい心かもしれない。
<終わりに>平成13年度の海外研修より葉山村の小中学校全校児童生徒からの募金が、ラオスの教育関係者へ研修参加者の手から渡されている。研修期間が夏休みであることから困難であった現地での小中学生との直接交流活動も関係者のご尽力で実現している。今までも多くの方々に支えられてきた研修ではあるが、回を重ねるごとに人と人とのつながりにより広がりを感じている。今後もこの海外研修が葉山村だけの事業ではなく、より多くの人たちとともに発展することを祈願している。
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