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第7回国際メッセージ

 異なった文化等の背景を持つ日本人と外国人が、日ごろ感じている国際交流や国際協力についての意見を発表することによって、これからの国際交流・協力のあるべき姿をともに考え国際理解を図るとともに、世界に目を向けグローバルな視点で考え行動できる国際感覚豊かな人材の育成を図ることを目的として「第7回国際メッセージ」が平成17年3月6日(日)高知市本町3丁目の高新文化ホールで開催されました。

  発表者は、県内高校生9人とアメリカ人、バングラデシュ、コンゴ、インドネシア出身の在住外国人5人の計14人で、それぞれの体験に基づいて感じた国際交流・協力についての意見を発表しました。会場に集まった約120人の聴衆も発表者の真剣な言葉にうなずいたり、時にはユーモアを交えながらの発表に会場からも笑いの渦が湧き上がるなど発表者の意見は国際交流や国際協力の素晴らしさを大きな感動とともに伝えました。

  国際メッセージ大賞には、中学3年の夏休みに海外研修でカンボジアを訪れた時、戦争によって傷ついた人たちの悲惨な現状を目の当たりにし、自分にできることは何かを見つめなおし、地雷除去のために募金活動自分でできることから今、一歩をふみ出しますと熱弁を振るった高知南高等学校2年(当時)の西元香恵さん「My Way」が選ばれました。

  優秀賞には高知東高等学校1年生(当時)の甫木つかささん「ラブ アンド ピース」とバングラデシュのディパ・ディさん「バングラデシュでのボランティア体験」が、また審査員特別賞には高知大学生のウムル・ハサナさん「なかせる交流」が受賞しました。


インド舞踊の様子


審査員の先生方

参加者の皆さん



 大賞受賞者

 西元 香恵
 高知南高校3年(当時2年)


 My Way

 あんたは何のためにカンボジアに行ってきたが?ある日、母に言われました。私は答えることが出来ませんでした。その時の私は、少しでも思い通りにならないことがあるとすぐに腹を立てたり、わがままばかりを言って親とケンカすることも少なくありませんでした。そんな時に、母に言われたこの言葉をきっかけにその答えを考え始めたのです。

  私は中学3年の夏休みに海外研修でカンボジアを訪れました。カンボジアについて知っていた事は、発展途上国であるということくらいで初めての海外に研修というよりも、むしろ旅行気分でわくわくしていました。しかし私はそこで、カンボジアの悲しい現実を見たのです。1人の女性が、赤ちゃんを抱いて道端に座っていました。すぐそばを通った時、私は自分の目を疑いました。彼女は片目と片足を失っていたのです。私は強い衝撃を受け、あまりのショックに涙もでませんでした。そして彼女は、私達にお椀を差し出し物乞いをしてきました。彼女は無言でしたが、私は彼女が何を言いたいのか感じる事が出来ました。でも、私は何もしてあげられませんでした。ただ呆然として、こんな現実は見たくないと思いました。カンボジアにはまだたくさんの地雷が埋まっていて、その地雷によって傷つき、死んでいっている人たちがたくさんいるのです。平和な日本では、そんな事が起こっているとは信じられません。

  私達は、毎日食べる事が出来て、学校へ行く事が出来て、好きな服を着る事が出来て、それが当たり前です。でもそれは、カンボジアの人たちにとってとても贅沢な生活なのです。自分の生活が贅沢なんて考えた事もありませんでした。ただ当たり前に、なんとなく毎日を過ごしてきたのです。カンボジアに行って、自分のそういう生き方を反省したはずだったのに、また同じ事をくりかえしていました。
  人は大切な事を忘れがちです。なぜならそれが当たり前になってしまうからだと思います。いつもそばにいる事が当たり前。だからその人の大切さをつい忘れてしまうように。私もそうでした。カンボジアの現状を見てきたのにもかかわらず、前と変わらない生活を送る中でだんだん忘れかけていました。それを母に言われて気づいたのです。あんたは何のためにカンボジアにいってきたが?と。今なら答える事が出来ます。私は、世界が知りたかったのです。日本とは違う世界を見て感じて、日本を、自分を見つめなおそうと思ったのです。

  それが分った今、私に出来る事はなんだろう?それは、1人でも多くの人にカンボジアのことを知ってもらうことではないかと考えました。カンボジアのために何かするには、まず知ることが必要です。もし何も知らなかったら、私達は何をしたらいいのかわかりません。知ることによって、できること、やるべきことが見えてくるのです。私は、地雷除去のための募金、古着の提供などできることはなんでもやっていきたいと思っています。現在、世界中にこういった活動をしている人々がいますが、現実には、地雷はなくなっていません。まだまだ人の手も、費用も足りないのです。戦争は終わっても、地雷は人々の命を奪いつづけています。だから、地雷が無くならない限り、人々に平和は戻ってこないのです。

  1人では小さな力でしかないかもしれません。しかし、多くの人が集まれば、それはきっと大きな力になり、世界を平和にする事が出来ると私は信じています。戦争も地雷も無い、平和な世界に・・・。多くの人が活動する事によって、世界は変えられるのです。そのために私は、今、一歩を踏み出します。



左から 甫木つかささん、西元香恵さん、ディパ・ディさん、ハサナさん


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