−おぴにおん−
「私たちは国際市民社会の一員です」
〜第1回国際メッセージより〜
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高知大学4回生 古田 喜美恵
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私は、この夏、ある民間国際協力団体が主催するスタディーツアーに参加し、中国安徽省南部にある農村の小学校を訪問しました。
天井は崩れかけ、窓には窓ガラスがありません。電灯もなく、薄暗い教室には机がぎっしり並んでいました。これが私たちが訪れた黄山市祁門県西武小学校の様子です。私たちが、この村を最初に訪問した外国人だったので、村の人達も集まってきて、教室は人でいっぱいになりました。
「先生になりたい」「お医者さんになりたい」。子供たちが将来の夢を語るたび、拍手と笑い声が起こりました。食べていくのが精一杯、という環境の子供たちに、そんな将来の夢がかなうのでしょうか。そんな想いを打ち消してくれたのは、まだ暑いのに分厚いコートを着て熱心に授業を受けていた、ある男の子のひたむきな目でした。
私は、幼いころから片方の耳が聞こえません。でも、みんなと同じように学校へ通い、将来への夢があります。それは、家族や友人の支えがあったからです。それと同じように、この子供たちにも民間援助の手が差し伸べられ、小学校卒業の夢が実現しつつあります。
私は今回、中国を訪ねたことで、これまで馴染めなかったボランティアの意味を、もう一度考え直すことができました。今、経済的に苦しい人もいるでしょう。また、身体的にハンディを持っている人もいるでしょう。でも、どんな状況にあっても、希望を失わずに生きていくことができるのは、大勢の人の力添えがあるからではないでしょうか。私は、自分が希望を与える立場であり、希望を与えられる立場でもあることを知りました。
民間国際協力とか、国際ボランティアというのは、国を越えて、私たち一人ひとりが世界のどこかで待っている人たちに希望を与え、また、その希望を支える行動だと思います。私は、この善意ある行動への参加を、次のように考えています。まず、民間国際協力事業を中心となって進めていく専門スタッフへの参加、次に、その専門スタッフを支えるボランティア、最後に、資金援助や理解者として経済的、精神的な支えとなる国際市民です。
もちろん、専門スタッフになるには、現地語の習得や事業経験などが必要です。でも、今回、私がスタディーツアーに参加して、その経験を周りの人に伝えたりするような支援ボランティアや国際市民としての参加は、個人の意志で十分できることだと思います。
21世紀は、民間国際協力の時代だと言われていますが、私たちボランティアや国際市民の時代でもあります。それは、自分が希望を与える立場であることの自覚かもしれません。私も、中国の農村の子どもたちから、そんな自覚と、個人を越えた大きな『希望』をもらいました。まず、できるところから、そして、少しでも行動に移しましょう。私たちは国際市民社会の一員です。
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