ニーハオ安徽 2004年2月発行 第19号 P1 P2 P3 P4 P5


高知で見つけた!故郷と希望

高知県と友好関係にある安徽省から昨年9月、3人の技術研修員が来高されました。
高知で約半年間の技術研修や生活などのお話を伺いました。




          研修旅行で訪れた足摺岬にて
 

呉 義鴻

土壌肥料技術

 研修を通じて知り合った日本の友人とのより親密な交流を保持していき、日本の農業改良普及方法を活用して、安徽省の農家に先進的な肥料の利用技術を進めたいです。

 

周 毅

森林技術計画、森林公園管理、保安林整備、苗圃管理

 高知県は澄み切った空と川がとても印象的でした。また、森林に恵まれ、”人と木の共生”を基本理念とした「木の文化県構想」を持っています。体験施設や森林公園を活用した、森林環境教育モデル校での環境教育の推進などは学ぶことが多く、今後に活かしたいと思います。

張 良新

林業政策、林業技術

 日本の健全な森林・林業に関する法律や政策体系、林業生産の高度機械化を学びました。中国は林業への資金投資をもう少し重視し、森林や環境の教育が発展を導くと思います。また、日本のような森林組合、叉は森林組織を導入したいと考えます。



【日本語は上達しましたか?】

  9月10日から10月11日まで日米学院で日本語を勉強しました。月曜から土曜まで、毎日7時間も授業があって、先生が真剣で真面目だから生徒は大変でした(笑)。
  教科書は、“教えやすい”“学びやすい”と言われる「みんなの日本語」です。生活や研修でよくつかう単語や話し方がいっぱいあって良かったです。でも4歳の娘(汪丹華)を残してきたので2ヶ月間はホームシックで寂しくて・・。

【木造建築についてどう思いますか?】

 日本に来て驚いたのは木造建築が多いことです。中国の家屋はほとんどコンクリート造りです。北京にある木造建築といえば紫禁城と天壇公園ですが、それは世界遺産ですし。
  今の職場のような全部木で作った建物は見るのも働くのも初めてです。優しさと温かさがあって大好きです。

【農業分野で希望はありますか?】

  昨年10月から高知県農業技術センターで研修しています。高知の花卉や野菜の栽培技術は中国よりも進んでいます。日本からはこれらの技術を勉強して、安徽省からは堆肥の輸出ができればいいと思います。
山崎 (県農業技術センター 土壌肥料科長) これからの日本は、食糧の自給率を一定させるとともに食糧輸入国としての現実と向き合う必要があります。世界の、とりわけ中国の農業事情を知り、県内の農家への適切なアドバイスと施策を行うことが求められるでしょう。
  そのためにも安徽省との交流は大切ですね。テレビや書物の情報とは違う現実を実際に安徽省に行って知ってほしい。日本は小さい田畑に色々な野菜や果物を栽培していますが、安徽省では広い耕地でみんな同じような作物を作っています。考え方や手法が違うんです。

【 中国と日本ではお茶の飲み方も違いますね。】

  中国では茶葉を観賞しながら飲みます。日本茶は茶葉が消えて見えない(笑)。これは茶文化の違いなんです。料理では日本が見た目をいい、お茶では中国が見た目をいうんです。中国人は談笑や会議でもお茶をまず出します。人生や経営を考えるのも中国人はお茶なんです。

【『黄山毛峰』を聞いたことがあります】

  『黄山毛峰』は安徽省で一番有名なお茶です。とにかく美味しくて、産地に汚染がありません。
 スーパーでも売っていますが、一流品はやっぱり専門店で買った方がいいでしょう。お酒も有名で亳州の『古井貢酒』は中国八大銘酒に選ばれています。10年物は特に人気があります。

【日本茶はいかがですか?】

  中国では飲まなかったコーヒーを飲むようになりました。大人の味のブラックが好きです。日本茶はあまり飲みません。小さい声で言いますが「あまり美味しくない」んです。やっぱりお茶は中国茶でしょう。

【高知での生活は充実していますか?】

  一番困ったのは食事です。お昼はお弁当を作って、夜は時々インスタントラーメンを作ります。味噌、塩、醤油味、全部大好きです。
 私は醤油ラーメンが好きです。夕食はパンとミルクと果物が中心です。中華料理が恋しくなったら張さんの家にお邪魔します。張さんは研修生仲間でも有名な名コックですから(笑)。
  謝謝!でも本音を言えば、中国のほうが野菜や果物の種類が多くて調理しやすい。

【安徽省の見所を教えて下さい】

 自然と文化遺産として世界遺産に登録されている黄山と中国四大仏教の聖地の一つになっている九華山がお勧めです。黄山には2回、九華山には3回行きました。長江の南岸にある天柱山、六安市にある天堂寨国家森林公園、州市の西南にある琅山にも行ったことがありますが、どれも素晴らしい名勝地区です。

   
黄山からの絶景   黄山途中で出てくる指南図   歴史漂う九華山

 

【高知での楽しい思いでは?】

  高知では、ふるさと祭りや人権フェスティバルにも参加しました。山北のみかん狩りや県庁運動会も楽しい思い出です。
 私の思い出は中央公園での人権フェスティバルです。焼き餃子と水餃子を260個も作って、最後にはあげ餃子も作りました。材料はひき肉、にら、塩、ごま油です。全部完売でした。でも中国では二人ともスーパーで餃子を買ってる。最近は怠け者の奥さんが増えたんです(笑)。

     
人権フェスティバル   『本場の味』餃子はあっという間に売り切れ    

 

【若者の文化は違いますか?】

 私は、日本の若者には合肥の若者文化にもふれてほしいと思います。携帯電話、MP3、インターネットは若者の必需品になりつつあります。若者の間では、中国茶派よりコーヒー派が増えていますし、映画でも洋画の人気が高くなっています。タイタニック、ターミネーター、ロボコップはみんな知っています。
 ボウリング人気は落ち着きましたが、ディスコは今でも人気です。お立ち台があったり制服を着たお巡りさんみたいな警備員がいたり、日本とはかなり違うでしょう。2・3年前からはサッカーもブームです。

【今年は高知県と安徽省友好提携10 周年ですが、どんな思いですか?】

 今年の8月には高知からのチャーター便が出ると聞きました。多くの高知県民が安徽省を訪問してくれることは嬉しいことです。個人的な意見ですが、これからは林業や農業、産業や教育、スポーツなどあらゆる分野で民間交流をもっと進める必要があります。
  青少年交流をふくめて、高知の若者がぶらりと安徽省に出かけて行って町のお店でワイワイ楽しめる、そんな光景が普通になる日がくることを願っています。
  一人の安徽省民としてあらゆる分野での官民の交流を期待しています。これまで少なかった農業分野での交流にぜひ力を貸して下さい。私一人が研修に来ても限界があります。実際に農家レベルでの人材交流を行えば、お互い深く考え感じあうものがきっとあるでしょう。21世紀はそういう時代だと思っています。




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