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Winter No.27




総務庁日中青年親善交流事業
「日本青年中国派遣団」
        に参加して



高知県青年国際交流機構
有澤 めぐみ


万里の長城にて




 すさまじい飛行機のつんのめりとともに私たちは北京空港に降り立った。初めて見る中国。出会って数ヶ月しかたっていない仲間。気体と不安に包まれながら、私達の中国の旅が始まった。
 神秘の国。これが未だ見たことがなかった中国に対して私がもっていた印象だ。12億という膨大な人口、急激な経済発展、都市と農村の経済格差、そのどれをとっても私には謎だった。
 しかし、バスの窓から見える景色は、そんな私の予想を大きく裏切る、いたって普通のものだった。広い土地にほっそりと背の高い木々が生える風景は、アジアなのにオーストラリアやヨーロッパのそれと重なって見えた。中心街も大きな建物が所狭しと立ち並んでいるのかと思いきや、国土が広いせいか余裕をもった建て方だった。「けっこうゆったりしているんだ。」これが北京の第一印象だ。
 北京郊外で行われた合宿セミナーや武漢大学での学生との交流会では、同じ世代の中国の若者と話をする機会があった。彼らは日本語や英語を上手に操っていた。外国に出たことがないにもかかわらず流暢に外国語を使いこなす彼らの姿に、急速な経済発展の理由を垣間見たような気がした。普段、あまり自分の意見を大勢の前で口にすることのない私にとって、彼らの姿は非常に刺激的だった。
 彼らとの交流やホームステイをとおして、私にとっての中国はとても身近なものになった。「中国〜」と話しているのを聞くと思わず振り向いてしまうし、テレビや新聞で中国が取り上げられていると思わず見てしまう。この前までは「神秘の国」だった中国が、今では友達が住む近くの国になってしまったのだ。
 派遣中はゆっくり考えるひまもなく、スケジュールをこなすだけで精一杯だったが、こうして帰ってきて毎日を過ごしていると、確かに自分が変わったように感じる。それは目に見えるものではないかもしれないが、私自身、どこか強くなったような気がする。
 私にその強いエネルギーを与えてくれたのは、他でもなくハードな3週間をともにした派遣団の仲間たちだ。その顔ぶれは非常にバラエティに富んでいて、私たちを見れば日本の若者を理解してもらえると思えるほど、ありとあらゆる人がそろっていた。本当に電話面接で選んだのかと何度も思ったほどだ。
 私が一番勉強させられたのは、何か問題が起こったときに誰かがさっと動けること。それぞれが自発的に動き、お互いに助け合うことで、派遣中の団の流れは常にスムーズだった。疲れがたまってきている状態で、常に周りに気を配ることは簡単なことではない。それをさらっとやってのける人たちに出会えたことは、私自身を省みるよい機会になった。
 そして、誰もが刺激を与えてくれる人であった。将来の希望を語る団員の話を聴いていると、「私も頑張ろう」という気持ちになれた。高い目的意識を持った団員との出会いは、ちょっと息切れをし始めていた私にとって、大きな起爆剤となった。
 派遣が終了した今も、毎日派遣団のみんなから送られてくるメールを見ていると、みんなに対する愛情が日に日に強くなっていくのがわかる。みんなと出会えたことが、私にとって一番の収穫だった。
 不安に包まれながらのスタートだったが、終わってみると何か一つのことをやり遂げたような充実感がある。そして、その充実感は自信へと変わり、無意識のうちに何事にも積極的に取り組める自分の姿へとつながった。これからもいろんなことを見て、感じて、学んで、自分の人生をたくましく切り開いていきたいと思う。そして自分が得たものを、これから21世紀を背負っていく子どもたちに伝えていきたい。

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