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Letters from Abroad

高知県出身で、JICA青年海外協力隊員の吉田進さんとJICAシニア海外ボランティアの團野哲也さんからお便りが届きました。



「“ノベ族”と“チャカラ”について」
 吉田 進(派遣国)パナマ(職種)村落開発普及員

ノベ族の人々


赤ちゃんが入ったチャカラ
 ノベ族はスペイン人らの征服から西部の山奥へと逃れて生き残ってきた先住民族で、これまで長い間、自給自足的な農耕を営んできました。彼らの居住地区はパナマにおいては最貧困地域に位置付けられていますが、念願であった彼らの自治区の創設がようやくパナマ政府によって認められ、1999年に施行、自治権を獲得したところです。
 しかし、経済的にはまだ住民だけで自立できるようにはなっていないのが実状です。伝統的な焼畑農業の生産性は低く、また人口増加が加わって自給も難しくなり、男性たちがコーヒーやさとうきび農園への出稼ぎによって現金収入を得ています。

手編みかばん「チャカラ」とその役割

 ノベ族の老若男女が現在でも日常的に使っている手編みかばん「チャカラ」。これはピタという植物の繊維から採った糸を植物の染料で染めて、編みこんだものです。ノベ族の多くの女性が母親から作り方を学んで作っており、横ラインやギザギザ模様(蛇のイメージをあしらったもの)が代表的なデザインですが、一点いってん異なるのが特徴です。また、チャカラの繊維は非常に丈夫で、普段は肩からかけて農産物や日常品を入れていますが、大きいものはお母さんが頭にかけて赤ちゃんを運んだり、揺りかごにしたりします。

ノベ族の真心をあなたの暮らしの中に

ピタから糸を取り出そうとしているノベ族の女性 チャカラ品評会の様子
 このチャカラを海外で販売しようという動きが出てきています。日本での販売はまだ構想段階ですが、私たちの暮らしの中の様々な場面で利用できると思います。ポシェットとして、壁飾りやプランター入れとして、スーパーのお買物バッグ代わりに…。シンプルな形ですから、気軽に様々な用途に使えます。
 一つひとつ色や形の違う、この世に一つしかない手作りの良さを日本で楽しめる日が早く来ることを願っています。


「中東の不思議な国ジョルダンより」
 團野 哲也(派遣国)ジョルダン(指導科目)レーザー照射研究


大学、JICA関係者と記念撮影
(筆者後方右から3人目)
 ジョルダンは、イスラエル、シリア、イラク、サウジアラビアと境を接する人口約500万人のイスラム教を国教とする王国で、国民の約70%がパレスチナ系アラブ人です。読者の皆さんは「現在(2001年9月)、最も不安定要素の多い地域」を想像されることと思います。けれど、ジョルダン、特に首都アンマンに暮らしている限り、非常に安全で快適な毎日を過ごしています。

 ジョルダンはイスラエルとは1994年に平和協定を締結し、ジョルダン川に架かる5本の橋で国交を開いています。また、国内的にはアブドゥラ国王、ラニア王妃の統治下、民主化とインフラ整備が急ピッチで進められています。そんな意味からも、ジョルダンはちょっと不思議な中東の国です。

 ジョルダンと高知県の関係では、この国の最重要課題である飲料水、灌漑用水について高知工科大学の村上雅博教授が長年にわたり中東の水問題として研究されてきており、先日もアンマンを訪問されJICA関係者と懇談会を開きました。


実験の打ち合わせ風景
 私はジョルダン大学内の独立研究施設であるハムディマンゴ科学研究センターで、レーザー照射研究に関する技術的支援をしています。具体的には、<1>ジョルダン国内のレーザー装置の利用状況調査、<2>大学院におけるレーザー工学に関する授業の実施、<3>化学系大学院生の研究指導助言などを計画しています。

 レーザーは基礎研究のみならず、産業、医療分野にも幅広く利用されています。ジョルダンでも相当数のレーザーがすでに導入されているとの感触ですが、実際は、その利用に関わる諸問題を調査しなくてはなりません。これらの結果は、現在設立準備中のレーザー研究室の運営に反映されるでしょう。将来的にはジョルダン大学で技術を習得した研究者が、国内の各大学で幅広く技術者を養成できるような体制作りのお手伝いができればと思っています。

 派遣後半年が過ぎましたが、家族も呼寄せ元気でやっています。暑い夏がようやく終わり、今、短い秋に入りつつあります。今までは「ストライクは見逃す」期間でしたが、これからはコンスタントにヒットを打てるように、健康に注意して成果をあげていきたいと思います。

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