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緊張がほぐれ、笑顔が戻った出場者の皆さん

第5回国際メッセージ

平成15年3月8日、第5回国際メッセージが安芸市にて開催されました。今年は日本人7人、アメリカ人1人、カナダ人1人、韓国人1人の計10人の発表者が、国際協力、交流を通じて得た思いを発表しました。
 最優秀賞に選ばれた、メアリ ウェイドさんのメッセージを掲載します。




発表者と演題
中村 彩乃 「オーストラリア研修旅行記」
吉本 愛子 「日本語を通しての私の武者修行」
スコット ハンセンン (アメリカ) 「鍼」
横田 知沙 「心が通じあえる国際交流を目指して」
森田 佳余 「タンザニアで感じたこと」
元  大煕 (韓国) 「カルチャーショック」
田中 佐和 「短期留学を終えて」
メアリ ウェイド (カナダ) 「アイデンティティの意識」
福岡 陽子 「スウェーデンを訪れて」
石黒 千晴 「私の切なる思い」



プレクトラムアンサンブル「とれもろ」の演奏
結 果
最 優 秀 賞 メアリ ウェイド
優 秀 賞 元 大煕
  福岡 陽子
安芸市長賞 石黒 千晴




熱のこもった発表は私たちに感動を与えました

アイデンティティの意識

メアリ・ウェイド

 皆さんは、私の顔を見て、どこの国の人に見えますか。よく日本人に間違えられますが、実際はカナダ人です。しかし私はカナダに生まれていないし、両親もカナダ人ではありません。母は日本人であり父はイギリス人です。

 私はよく自分のことを根の無い木のようなものだと思っていました。

 アイデンティティという言葉を聞いたことがありますか?私にとってアイデンティティとは自分らしさという意味です。日本ではあまり自分らしさのことを考えませんが、今日は私の体験を参考に、皆さんにもご自分のアイデンティティについて考えてほしいと思います。

 私は高知に生まれて5歳まで普通の日本の子どもでした。家では家族と日本語で話をしていました。しかし、5歳の時に家族とカナダに引っ越して私の人生はずいぶん変わりました。英語は上手になりましたが、周りにはアジア系の人がいなくて、時々近所の男の子の笑い者にされました。その男の子たちは私の顔のまねをして目を引っぱったり、差別的なことを言ったりしたので、傷つけられて、私の生い立ちを少し恥ずかしく思いました。

 小学校6年生の時に初めて日本に帰り、1ヶ月間高知の小学校に通学しました。私は日本語も大分忘れていたし、日本人の雰囲気をなくしていたので、皆に外国人あつかいされました。自分はどこの国の人か、もう分からなくなっていました。

 しかし、だんだん成長するにしたがって、自分は他の子どもより利点を持っている事に気が付きました。それは、私は英語、フランス語、日本語の3カ国語を話し、また理解する事もでき、その国の文化を体験しているということで、私は自分に自信を持つようになりました。

 フランス語を高校卒業するまで12年間勉強して、大学4年生の時にフランスのリヨンに1年間留学し、フランス語も上達しました。

 今は、日本の文化や言葉を習いながら、高知でとても楽しい生活をしていて、本当に幸せです。高知は私の故郷ですが、こちらに来て私は、外見は日本人でも中身は日本人ではないことが分かりました。日本に生まれて、カナダで育ち、実際は色んな国の文化に影響されている現在の私が存在しています。

 私の木の根はいろいろな国の土に入っている感じがします。アイデンティティの意識は自分の経験で作るものだと思います。

 人の自分らしさは人の外見で分かるものではないですから、皆さん、人と接する時にはその人の体験や生い立ちを考えてみてください。




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